23日、豊岡に鳥獣害対策マイスター育成スクール(10月期)講義を受けてきました。
岐阜大学の鈴木正嗣教授(※)から日本の狩猟の歴史、狩猟者の役割の変遷、現在の狩猟者の実態と21世紀に求められる狩猟者像を学んできました。
(※岐阜大学応用生物科学部 野生動物医学研究室)

一時間半ぐらいの講義でしたが非常に面白かったです。
以下簡単にご紹介したいと思います。
最近テレビや新聞のニュースで熊による人身への被害が取り上げられています。また、神戸市東灘区でもここ数年人が住宅地でイノシシに襲われたという話をちょくちょく聞きます。しかしこれは今に始まったことではなくかなり昔から人対野生動物との戦いはあったという話でした。特に江戸時代は火縄銃が農具のひとつに数えられるぐらいだったそうです。刀狩令下においても「隠し銃」として黙認されていたぐらい必要であったみたいです。敵は特にイノシシで農地の周りには高さ数メートルの「猪垣(ししがき)」なる石垣をめぐらし防いでいました。その甲斐あって人間が野生動物を「押し返す力」が働き「闘争的共存」が成り立ちある程度の緊張感のある均衡が保たれていたといいます。また、昔から狩といえば「鹿狩り」を指し、奈良や金華山の鹿を除き狩猟による一定の「捕獲圧」が働き均衡が保たれていました。
では、なぜ近年ここまで全国的に野生動物の被害が増えてきたのか。
よく野生動物が開発による自然破壊の結果「住みにくく」なり人里に下りてくるという認識がされがちですが、(北海道のエゾジカが引き合いに出されていたのですが)むしろ開発により隠れるための森(住)は減らず採食地(食)としての農地が増え「住みやすく」なった結果という見方もできるとのことでした。
ツキノワグマに関しても造林面積の減少、つまり森が減ったので出没し始めてきたという理屈は、造林面積と捕獲頭数の関連性から考えると説明できないとのことでした。要するに人による自然の侵食が野生動物のすみかをおびやかしているとは一概には言えないということです。
屋久島においては世界遺産の森が鹿に食い荒らされ深刻な状況にあります。また、北海道では鹿がフロントガラスを突き破り運転手が亡くなる事故も起きています。
かつての伐採や乱獲による自然環境の破壊よりも鹿による自然環境の破壊のほうが深刻な脅威になってきたということです。恐ろしいことに鹿は4年で頭数が倍になるというすさまじき繁殖力の持ち主なのです。
それに反比例するように狩猟者は激減し、また高齢化が進み野生動物を「押し返す力」が弱まった結果、野生動物が人里で被害をもたらす結果になったのが大きな一因であります。
では追い払ったりあるいは柵で囲い守っていれば大丈夫なのか。
結局はそれでは他の場所を探したりあるいはさらに人里に下りてくる結果を招くことになり、根本解決には至りません。
つまるところ野生動物との共存は古来より続く「闘争的共存」という考え方が重要で狩猟による個体数管理体制を急ピッチで進める必要があるとのことでした。
講義の資料で米国の専門の駆除会社(設立からすでに10年経っています)が紹介されていました。米国ではすでに野生動物の農業被害や自然破壊の脅威がテロのそれと同列に扱われているそうです。
私自身去年の夏ぐらいから狩猟者になるべくいろいろ準備をしたり、いろんなことを調べたりしていますが、普通に暮らしていると見えないものがいろいろ見えてきて視野が広がりつつあることをひしひし感じています。これからもできるだけ紹介していきたいと思います。もっと細かい話に興味ある方ははお店で尋ねてください。
この記事に対するコメント
お久しぶりです。。
また、12月くらいに彼とおいしいごはん食べさしてもらいにいきまーすね♪
ふたり共、早く花里さんの料理が食べたい病で苦しんでます(笑)?
彼もいまとても大事な時期で、がんばってますよ★
では、クリスマスの頃に♪
福島 りえ